全ては住む人のために

設計士VS大工【対話集】
明日桧の家づくりは、設計士と大工が対等なパートナーシップ(バトル?)の上に、対話が繰り返され、出来上がっていきます。その関係は大工だけに留まりません。その他の職人との協同作業です。
意匠(デザイン)に偏らず、構造にも偏らず、住む人の住まい心地を最優先に考え、家づくりを進めています。その様子をいつも横で見ている佐藤がお伝えします。

【主な登場人物】
鈴木
[設計士] 鈴木
斎木
[大工] 斎木
芳山
[大工] 芳山

図面どおりのサイズに仕上げた階段板を現場に届けた鈴木に斎木が言った言葉は…。

鈴木が現場に図面どおりに加工した階段の材料を現場に届ける。
その部分はリビングとダイニングとの段差を結ぶ階段で3段ほど階段の取り付けでの話し。
材料を受取った時の斎木
階段写真
斎木 「実際に物を見てみると、もう少し広い方良くないかな、毎日使うところだし、通常の階段より幅が広いのでステップ(踏み面)が若干狭く感じないかな?」
鈴木 「う~ん、そう言われれば確かにそうかもしれないが、リビングは8畳ないので、段の奥行きを少なくして、少しでも広く出来ればと思ってもいたのだけどなぁ・・・、
毎日使うところやしなぁ~・・・・実際の寸法も大事やけど、見た時の人の感覚も大事やしなぁ・・・」
と、やり取りが続き、結局
斎木 「広いのにしますか?」
鈴木 「じゃぁ、材料を作り直してくるわぁ・・・」
結局寸法的にはステップ幅225→295mmへ変更しました。斎木は踏み面を大きくする事で、階段の勾配が緩くなることも考えての提案だったようです。
295mm巾の材料は通常流通材では少なく、急遽必要になった階段のステップの材は在庫持ち合わせの梁材を引き割ってつくりました。
ちょっとぜいたくな使い方になってしまいましたが、毎日のことですので結果オーライでした。
今では、訪問するお客さんのほとんどがこのステップに腰を下ろし、くつろいでいかれるようです。又その場所から、天気の良い日に窓を開けてベランダをながめると気持ち良いです。


工場で刻みの真っ最中、斎木が図面に描かれていない細かい部分に疑問を持つ。

田舎のお宅、4間続きの和室の材料の刻みをしていたところ、斎木が気づいたことがありました。
和室と和室を繋ぐ4枚引き違いの鴨居の上の納まりの話です。
建前のずーと前、斎木たち大工は鈴木の図面を下に大工は構造材を拾い出し、一つ一つ手と機械で刻んでいきます。
束写真
斎木 「あの、ここは三尺ごとに束を入れたほうがいいと思うんやけど」
鈴木 「いや、そこに三尺ごとに束を入れると、見た目が重くなるしな・・・」
斎木 「でも、いくら柱を大きくしても地震なんかの横の揺れには弱いから」
鈴木 「それには土壁の力で対応しようと考えてるんやけど」
※ もちろん、構造計算上はきちんと耐力も計算済みですので、ご安心ください。
斎木 「こんだけ大きな家やと、もっとここに材を入れて、ホゾの力を効かせたほうがいいと思うんやわ。」
との対話が続き、意匠的にもすっきりと!構造的にも横の力に対応できるよう、柱と同じ大きさの束ではなく、半分に薄く削り、土壁で見えなくなる材を使う事で双方納得したようです。
この部分、実は建築基準法では全く出てこないほど小さな納まり部分です。このように細かい部分でもこの二人にとっては大切なことなのです。


無垢の板張りの浴室での攻防?!

現場は仕上げの段階に入っています。現場に監理に訪れた鈴木に斎木が言います。
斎木 「この浴室の壁ですけど、木が浮いてくるとあかんで、釘を打ってもいいですか?」
浴室壁写真
鈴木 「ちょっと待って、でもそこは毎日入るとこやでな・・・。」
※ 確かに外壁等であれば、右の写真のように上から釘を打ちつけて、仕上げるのですが、通常内部の場合は釘を見えないところに打つのです。
斎木 「でも、風呂場やで水を含みますしね・・・」
鈴木 「そうなんやけど、毎日浴槽に使って、目の前にピカピカ光るステンレスの釘がいっぱい見えるってゆうのは、ちょっと悲しい気がするんや。お客さんと相談してみるわ。」
結局、お客様に「とりあえず普通の仕上げにしますので、もし浮いてきたら、スグに呼んでください。飛んできます!」と伝え、引渡しをしました。その後、4ヶ月がたちました、連絡はありませんが、様子を見に行ってもいい時期ですね。
浴室の木は高野槙を使っています。水に強いとされ、また独特の香りがする素敵な木です。


4寸の柱を進める鈴木、だが斎木が選んだのは3.5寸の柱だった。

斎木のお兄さんの自宅を計画中の話です。通常明日桧では柱は全て桧の4寸の太さのものを使っています。ですが、今回は斎木から違う提案があったようです。
斎木 「今回は柱の太さは3.5寸で行こうとおもうんやけど」
鈴木 「普通は4寸を使ってるやないか?どうしてや?」
斎木 「今回の家はそれほど大きくないから、あえて4寸の柱を使わなくても十分耐力はある。それに桧でなくても、杉でも十分だとも思う。」
斎木によくよく聞くと、兄の家づくりの予算を優先的に考え、また、その家大きさや意匠的に見ても太い4寸の柱より、3.5寸の柱のほうが綺麗に見えると思ったとのことで、リビング周りは杉の柱にし、その他の柱は桧でサイズは通し柱以外3.5寸で作られました。
この時はいつもと逆のパターン。斎木が意匠・予算的に考え、鈴木が構造的にこだわった結果となりました。


今回は設計士と大工・・・ではなく、設計士と左官職人の対話

鈴木と左官職人松木さんとの話
松木 「外壁の仕上げ塗りの時期は何時頃になりますか?」
鈴木 「早くて11月上旬になりますが…」
松木 「11月ですか…」
鈴木 「何か問題でも…」
外壁写真
松木 「土佐漆喰は冬場の時期は白華現象が起き易く、本場の土佐・四国地方は、冬場はほとんど施工しないのですよ、気象条件にもよりますが、寒い寒波が来た時には、仕上りが綺麗になりませんので、出来れば春頃に時期をずらして欲しいのですが、その代わり再び足場を施工して頂かなければいけませんので、お施主さんと鈴木さんの方にご負担をおかけするような形になってしまいますが・・・」
鈴木 「年末又は年明けの引越しですからねぇ…」
松木 「出来ない事はないですよ」
鈴木 「仕上がりが綺麗にならないかもわからないのですよね…、一度お施主さんに相談してみます」
ご主人さんの了解を得て、1月引越し後、再び5月に再度足場を施し、上塗りを施工いたしました。もちろん仕上がりは綺麗に仕上がりました。
このように、自社の大工だけではなく、一緒に造ってくれる職人さんとも対話を重ね、よりよい、より住まいやすい家に仕上げていきます。


鈴木と斎木・・ではなく、鈴木と大工・芳山の対話

あるとき事務所にいる鈴木の携帯電話が鳴る。「芳山からや」と電話を取る。
浴室写真
芳山 「お風呂の壁がまっすぐじゃないんですけど・・・、どうしたら良いですか?」
鈴木 「張る前にきちんと垂直を確認したのか?」
芳山 「・・・・。」
柱が立っているところに、そのままお風呂の壁の下地を張っていったようです。実は柱はまっすぐ立っているようでも、きちんと垂直を出すと微妙に誤差が出てきます。その確認をせずに、下地を張ってしまいました。
鈴木 「お前がそれで良いならいいけどっ・・まあ、お前に任せるわっっ。」
※ その言葉を聞いて、恐い!!と感じた佐藤・・・。
芳山 「やり直します!!」
※ 芳山君としては、やっぱり納得がいかなかった、と話します。
芳山 「やるからには、きれいにやりたかった。」
が、その時の気持ちだったそうです。
芳山 「仕事中には、やるべき仕事があったんで、張り直すのは、朝早く出てきて、帰りも遅くまで現場に残っていきました。その甲斐があって、やり直しが終わった時は、お施主様から『ええなぁ、きれいにできとるなぁ。』と言って喜んでもらってうれしかった!」
芳山にとって、自分の確認不足だったかもしれませんが、きちんとやりたい!という気持ちをもってやり終えたのは良い経験になったと思います。あたたかく見守って下さったお施主様には感謝しきれないほどだといいます。


今は絶対、明日桧が作っている木組みの家が一番やと思ってます!

上の芳山、最初は“いまどきの若い子”という印象でした。しかし最近はちょっと違います。去年の夏、鈴木と斎木と3人で伊勢であった伝統構法の勉強会に行った後から、ぐんぐん変わっていくのが近くで見ていてもわかるようになりました。
ある現場での休憩時間、スタッフ全員が揃ってた場でその理由を聞いてみると・・・
斎木 「あの日は、遅くまで語り合ったでな~」
佐藤 「え?3人で?」
鈴木 「いや、俺は寝た・・・」
斎木 「あれから、わかったんちゃうかな」
芳山 「はい、実は最初・・・大工になろうとは思ったけど、伝統構法の大工に!とは思っていなかった・・・。そして去年まではヤル気はあるけど、どうしたらいいかもわからない状態だったんだと思うんです。他の工務店とはちょっと違うんで、大工の友達と話していても自分の先が見えなかった。でも、斎木さんに話を聞き、明日桧での自分の目指すものが見えてきたんです。」

※ そこで聞いてみた。
佐藤 「仕事の中で、何している時が一番楽しい?」
芳山 「え?まだまだいっぱい覚えやなあかんことあるで、新しいことさしてもらえる時かな!・・・
というか、何でも心がけ一つで楽しくなるんや!って最近思います。」
図面写真
その場にいた全員から「おーー!」という歓声が上がる(笑)。
明日桧は小さな会社です。スタッフ一人ひとりがそれぞれ大切な役目を担って家を作っています。
“全ては住む人のために”という想いですが、実際は芳山だけでなく、明日桧自体もお施主様や周りの職人さんに支えられて成長させていただいていると感謝の毎日です。


設計士と大工の対話集、いかがでしたでしょうか?
この対話はほんの一部です。現場や事務所で、何度も重ねる打合せ、細かい部分の話し合い、小さな攻防・・・が繰り返されてできたお施主様の木の家をご覧ください。

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